銀閣の人に学ぶ上司として最低な「あの人は話がわからない」という評価

日本史上、有名な将軍の一人。足利義政。その優柔不断さから「応仁の乱」が起きる原因の一つとなったことは、歴史好きでなくてもご存知かと思います。そして、彼は、政治面のダメさと引き換えに、文化については、「東山文化」を作り上げた偉大な文化人であったことも有名ですよね。

当時の政治は、軍事面も大事。そのため、文化芸術肌の政治家は、当時の政治&外交についていけず。それは、越前朝倉氏を滅ぼした朝倉義景や織田信長に討たれた今川義元の息子「今川氏真」にも共通するところ。

銀閣の人「あの人は、話がわからない」

そして、門井慶喜氏の銀閣の人は、そんな足利義政の思い・信念・銀閣寺の畳敷きの部屋=同仁斎」にかける思いを描いています。

その心は、「文事をもって、政治に立ち向かう」

政治で尽力した父「足利義教」その名を知る人は少なくても、「足利義政」を知る人は多い。足利義教は、知名度こそ低い人物ながら、織田信長の前に存在した信長という人物。

比叡山焼き討ち、将軍権力の強化、関東公方を滅ぼしての東西東一など、政治&軍事で大活躍。最後は、家臣の赤松氏に殺されたのも、信長に似ていますね。でも、息子の足利義政ほど有名ではありません。

その点、彼は父に勝つことができたのかも。そして、この「銀閣の人」には、こんないいセリフがあります。

これ。マネジメントを考える上で、本当に大切な事。部下に「あの人は、話がわからない」と思われたが最後です。

権力者の身になれば、この世でもっとも恐ろしいのは、家臣や領民に、-あの人は、話がわからない-

そう思われること。芸術・学問・教育・宗教・・・人間精神の最高のいとなみをうっかり否定したら、ただちに彼らにそう思われ、なおかつ意識下で、自分もまた、否定される。と警戒される。つまり支持を失うのだ。銀閣の人

なぜ、あの人は、話がわからないと思われたらダメなのか。それは、話しあっても、何も変わらない・理解しあえないと考えたことの証明だから。

話し合いに必要なお互いの共通点がない・妥協点を見つける努力をしないだろうと見切られた・相手が大事に思うことを否定していることの象徴だから。

この一言には、怒りよりもむしろ「諦め」が含まれています。上司に対して、部下が、この言葉を直接言うことはまずないと思います。もし、言われたら、あなたへの信頼感はゼロ。これ以降、まともな情報は、入ってこずに、表面だけの付き合いになることでしょう。

そうならないためには、相手に敬意を払う・相手との共通の価値観を大事にすることが大切。あなたの主張を理解してもらいたいなら、あなたも相手の主張や思いを大事にすることです。

足利義政の文事で政治に勝つというのは、そういうこと。そして、自分の価値観を世の中に浸透させることに成功したので、勝ちと言えるかもしれませんね。面白い本なので、歴史好きに限らず、銀閣の人を読んでいただきたいと思います。

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