公共の福祉と信教の自由:バランスを取る難しいお仕事を政治家とマスコミにはお願いしたい
統一教会に関する問題は、8月のお盆を過ぎても続いています。
その中で、過激に走る言説も目立ちがち。霊感商法や怪しい健康食品や健康法など、人の弱みや恐怖に付け込み商法をすべて排除したくなる気持ちは十分に理解できます。
私も、心情的には、そうして欲しいと思います。
しかし、やり過ぎると宗教すべての否定や科学万能主義に陥るなど、副作用も出てくることが予想できます。それでは、カルト団体達の言う「私達の主張がすべて正しい」という同じ土俵に乗るのと同じ。
公共の福祉と信教の自由の対立
カルトの洗脳や霊感商法は、排除して欲しい。一方、信教の自由や相手が大事にしている思いや考え方は尊重したいと思います。
また、カルト団体の多くは、完全な法律違反をせずに、グレーゾーンで営業を行っています。信者を監禁や強制隔離までするようなところは、さすがに、潰れますからね。そのため、生き残っているカルト団体の多くが行うのは、強制ではない信者の自由意思での献金や奉仕。信者自身の意思で行うわけですから、犯罪にはなりませんね。嘘八百の話で、人は騙せなくても、8割の真実に2割の嘘を織り交ぜれば、信じ込ませることは可能。
ただし、カルト団体が問題なのは、洗脳やマインドコントロールといった手法を活用すること。そして、社会常識と反した団体独自の教えや常識が絶対であると教え込むこと。
これがあるために、山上容疑者と統一教会問題のような事態が起こってきます。宗教二世含め、本気でカルト団体の教義を信じている場合、世間との考え方が違いすぎて孤立しがち。
団体の教義と世間の常識が矛盾しても平気なタイプは、OKかもしれません。教団内で布教活動をしている人はそれでいいでしょう。しかし、社会で日常生活を送りながら信者である人は苦しい。
その矛盾に耐えきれない人は、世間から孤立することで、さまざまな問題を起こす可能性が高くなるでしょう。
現代社会において教祖が神である。信じない者は地獄に落ちると教えるカルト新興宗教があったとしましょう。これを本気で信じている人があなたの両親や雇用主だったとします。
その教えを信じない人が、一緒に暮らしたり社員として仕事を続けることができると思いますか?
えっ、表面上、合わせておけばいいと言うのですか。カルトの信心というのは、そんな甘いものではありません。
あなたの友人やお客様にも教えを広めろ・勧誘しろと命じられるのですよ。セミナーに参加しろ・ありがたい●●を買え・通常の話し合いの中にも、度々、教義が出てきて常識は通じない。⇒合わせるなど無理。信じるか信じないかです。
それでも、信教の自由を盾にすべてが自由でいいのでしょうか?
私は、そうは思いません。さすがに、ある程度の規制や法律で縛る必要はあるでしょう。もし、そういった団体の勧誘に会ったとしても、法律違反だから、政府や学校が規制や注意しているからと言う断りを出すこともできますからね。
規制が難しいのは、百も承知ながら、できるかぎりの規制はして欲しいと思います。
河野太郎消費者担当相による霊感商法検討会
河野太郎消費者担当相は、霊感商法の検討会を立ち上げるとのこと。
政治家と官僚は、動き始めました。世論の力は大きいですよ。いかに、政治家に食い込んでいても世論が声を上げれば、彼らは無視することができません。
河野太郎消費者担当相は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐり社会問題化した「霊感商法」に関する検討会を立ち上げるよう、消費者庁に指示したことを明らかにしました。https://t.co/DB5VkuLcmA
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) August 12, 2022
高市早苗氏は、毎日新聞の指摘を受けて調査。その結果、統一教会関連団体だと発覚したとツィート。今後は、知らない媒体からの依頼は断ることを誓っています。
ところが、毎日新聞から、21年前の2001年に旧統一教会関連団体が発行する雑誌の対談に参加していたとの指摘があり、国会図書館に調べて頂き、掲載誌を発見しました。大好きだった評論家の細川隆一郎先生からのお誘いで喜んで参加した対談でした。 — 高市早苗 (@takaichi_sanae) August 14, 2022
ただ、難しいのは、すべてを潰すということ。例えば、キリスト教やイスラム教の教え=聖書やコーランを読めば、相当に過激なことが書いてあります。文字通りに解釈すると、カルト新興宗教と変わらない内容。
だからさ、
「目障りな宗教や組織や個人との関わりを禁じてしまえ!」
みたいな雑な事で感情的に盛り上がってると、このあたりを突き付けられただけで身動き取れなくなるって話してるんだが、読み取ってもらえん例が多いようだなぁ。
私はイスラム教を排撃しろって意図で書いてないんだけどねぇ(-_-;) https://t.co/Lmx63wISpR— タクラミックス (@takuramix) August 15, 2022
しかし、旧宗教とカルト新興宗教が違うのは、歴史の洗礼を受けていること。その中で、過激な思想は、社会に受け入れられるようにマイルドになり、過度な勧誘行為も戒められるようになりました。宗教と戦争に関する歴史を学べば、その過程で支払われた代償が凄まじいものであることは分かると思います。 ●反社会的カルトの共通点 新興宗教の問題点は、そこ。千年の歴史で支払われた代償を数年や数十年に短縮できるわけがありません。そのため、周囲との摩擦や軋轢を生みがち。だからこそ、霊感商法や難しいながら洗脳などに一定の規制が必要だと思うわけです。
カルトは、宗教だけではなく自己啓発にも多い
さらにやっかいなのは、カルトは宗教だけではないということ。自己啓発などにおいても、カルトと共通項の多い団体は存在します。 ロックバンド「X JAPAN」のToshiさんがホームオブハートという自己啓発カルト団体に洗脳されていたことは有名な話。ここは、宗教団体ではないため、宗教団体への規制という方法では、被害を防ぐことはできません。
Toshlの著書「洗脳~地獄の12年からの生還~」が発売された。 この本は1990年代後半に世間を賑わせたToshlとホームオブハートを巡る「洗脳騒動」についてToshl自身がつづったもの。Toshlはホームオブハート主宰のMASAYAとの出会いや家族との争い、元妻の裏切り、暴力と搾取の日々など、自身がマインドコントロールされていたという12年間の日々を明かしている。Toshi:洗脳
こういう自己啓発団体は、山ほどあります。この被害を防ぐのは、情報公開しかないと思う次第です。
たまにカルト=宗教というイメージで話をされることがあるので、「カルトは宗教だけではなく、お金が儲かる、自己実現できるなどと言って無茶苦茶なことをさせる自己啓発ビジネス集団もあり、その場合はどこまで行っても宗教が出てこない」というのを言っていきたいです。 — 雨宮純 怪事調査ライター (@caffelover) August 17, 2022
宗教関連、霊感商法や開運商法、科学的根拠が薄い健康食品など、やるなら、全部やれば良いとおもいます。その上で広告費返金すればよい。新聞社潰れると思いますが、仕方ありません。
— 渡邉哲也 (@daitojimari) August 12, 2022
しかし、科学万能に行き過ぎるのも問題だなと思う次第。まずは、河野太郎氏が指示している霊感商法対策の行方を見守っていきたいと思います。
8人のメンバーが公表。カルトや洗脳に詳しい西田公昭教授も入りましたね!
【#霊感商法「対策」3つのポイント】
消費者庁による霊感商法の対策検討会。8人のメンバーが公表されました。その1人 #紀藤正樹 弁護士は、検討すべき3つのポイントを挙げました#newszero pic.twitter.com/knFcebFMkW— news zero (@ntvnewszero) August 26, 2022