カルトやマルチ商法のマインド・コントロール戦略は、ビリーフ・システム(西田教授)の書き換え!
カルトやマルチ商法は、マインド・コントロールによって、あなたの考えや信念を変えてしまいます。
赤ちゃんならいざしらず。なぜ、そういったカルトのマインド・コントロールに引っかかってしまうのでしょうか。そのマインド・コントロールの概念を立正大学教授の西田公昭氏は、説明してくれています。
マインド・コントロールとビリーフ・システムを知って対抗
行動を決める意思。その意思決定装置「ビリーフ・システム」をマインド・コントロールでは入れ替えてしまうのです。怖いですね。しかし、オウム真理教・マルチ商法など多くの分野で、このマインド・コントロールは存在し、あなたやあなたの大事な人の脳内を入れ替えてしまっています。
ある程度の知識を身に着けないと、こういった被害を防げないため、できるだけ学ぶことをオススメします。
人間は、自分の中に、自分の理想やモラル・目標といったビリーフ・システムを持っています。行動する時には、その思考回路を使って、善悪や判断を行うわけです。
従来のモラルや良心を置き換える
例えば、盗みや嘘は良くないという考えを持っていれば、それに反する行動はできませんね。そのため、例え、誰も見ていないところでも盗みをしない。人に嘘はつかないといった行動になる。これが、ビリーフ・システムによる判断と行動。
ところが、マインド・コントロールによって、今までの自分と違うカルトやマルチ商法のビリーフ・システムに置き換えられると大変。カルトの知識・モラル・理想が正しいとなって、カルト回路になってしまいます。そうすると、今までの回路は、使わなくなり、機能せず。
マインド・コントロールの基本戦略は、西田教授の説ではこういった形。
マインド・コントロールの基本戦略
- 不安や恐怖を煽って混乱
- ストレスでエネルギー消耗
- カルトの知識や理想をインプット
マインド・コントロールの研究では、人間の脳は、情報過多と情報不足。両極端なこの2つの方法によって、コントロールできると言います。北方水滸伝でも、相手に自白させる場合、情報を完全にシャットダウンしてから、尋問を行う場面が登場します。青蓮寺の「赫元」に対して使った手段。
これによって、カルト信者は、自分の頭で考えるより、集団や指導者の意のままに動く存在へと変化。
組織を守るためなら、嘘や反社会的な行動も平気
- 指導者の意思は、必ず実行する
- 指導者は、100%正しい。
- 従来の良心。嘘をついてはいけない。人は守るべきなどという回路は機能不全
だいたい、カルトの信者は、カルト仲間の言うことや指導者は正しい。カルトの教えを批判する人は無知・わかっていない存在だと蔑み、自分たちだけしか通用しない真理にしがみつき孤立します。
そして、これまでのビリーフ・システムは、機能していないので、組織のために嘘をついたり、信者を増やすための無理な勧誘を行います。反社会的な行為も命令されれば、行うようになります。良くないカルトだと、世界や人類を救うという壮大な目標を掲げており、その大義のためなら、目の前の小さな悪事も仕方がないことだと正当化。こういう団体は、かなり危ういと言えます。
西田教授:新しいビリーフ・システム
マルチ商法もカルトも同じ。自分の感性や考え方を重視せず、カルトやマルチの考え方や理想像を徹底的にインプット。
入ってくる情報を制限して、都合の良い人形を作り上げることに注力します。
●ビリーフの形成と変化のメカニズムについての社会心理学的研究
立正大学心理学部対人・社会心理学科教授(社会心理学 博士) 生年:1960年
マインド・コントロールの心理学的研究を行い、それに関する法廷証言多数。
小諸いずみ会理事、法と心理学会理事、JSCPR理事など