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ジョセフ・ジョースター&アブドゥルが選ぶトロッコ問題の答えは?

ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が、提示して話題になった【トロッコ問題】。どの命を救えばいいのかを選択しなければいけない哲学です。もともとは、英国の哲学者フィリッパ・フット氏が、1967年に提起したもので、哲学・道徳では有名な話だった様子。

ジョセフ・ジョースター&アブドゥルが直面したトロッコ問題

このトロッコ問題に似た例は、ジョジョの奇妙な冒険「スターダスト・クルセイダース」にも登場します。

敵スタンド【マライアのバステト女神】の罠にはまったジョセフ・ジョースターとモハメド・アブドゥル。マライアは、磁力を操る力を持ち、ジョセフとアブドゥルの体を磁石化します。

そのため、二人のからだと鉄でできた線路がくっつきました。そこに来たのは、オーマイガッ、なんということでしょうか。多くの客を乗せた列車が猛スピードで突進してきます。

このままでは、ふたりとも列車に轢かれて死んでしまいます。さあ、主人公の仲間である二人は、どのようにピンチを乗り越えるのでしょうか。

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ジョジョの奇妙な冒険「スターダストクルセイダーズ」

線路を焼き切れば乗客が死ぬ。

思わず、ジョセフは叫びます。

ジョセフ:「列車が来たッ!早く線路を焼き切れッ」

アブドゥルは、炎を操る特殊な力を持っています。

その炎で、線路を焼き切ってしまえば、自分たちは、助かります。しかし、アブドゥルは拒否。ジャンプの主人公とその仲間たちは、正義の味方です。自分の命より人の命を救うことがテーマ。焦りからジョセフが発した言葉に、アブドゥルは、あわてて否定。

アヴドゥル:「それは・・・出来ませんッ!この線路を焼き切ったら列車が脱線して、大事故になって大勢の人が死にます。」

ジョセフもむううと唸り、アブドゥルの判断を認めます。

そもそも、彼らは、世界支配の野望を持つ悪の権化「ディオ」を倒し、ジョセフの娘「ホリィ」を助けるのが目的。ディオを生かしておけば、世界中の罪なき人たちが苦しみます。それでも、自分たちの命惜しさに罪なき人を巻き込んでいいものか。

ちなみに、悪人ディオの倫理感からは、トロッコ問題で悩むことはありません。

何人殺したとの問に対して、「お前は、今までに食ったパンの枚数を覚えているのか?」と返したディオなら、躊躇なく、線路を焼き切るはず。

これぞ、まさにjojo版のトロッコ問題。

1.線路を焼き切る:列車の乗客は、大勢、死亡する。自分たちは助かり、ディオに苦しめられる多くの人々が助かります。

2.線路を焼ききらない:列車の乗客は助かる。しかし、ジョセフとアブドゥルは死亡し、多くの人が死ぬことになる。

元祖トロッコ問題について

ちなみに、サンデル教授でも有名なリアルなトロッコ問題は、こんな感じです。

制御不能になったトロッコが、猛烈なスピードで走っています。疾走するトロッコの先には、線路工事をしている作業員が5人います。

運転士であるあなたは、左側の待避線にトロッコの進路を変更できます。そうすれば5人の命を助けられます。しかし待避線には1人の作業員が工事をしていて、今度は彼がトロッコにひかれて命を失うことになるでしょう。

あなたなら待避線に入り、1人を犠牲にして5人を助けるでしょうか。それとも待避線には入らず、5人の命を奪うでしょうか。

もう時間がありません。あなたはどちらを選びますか──。これは、「トロッコ問題(トロリー問題ともいいます)」と呼ばれる思考実験です。

サンデル教授のトロッコ問題

この問題に正解はありません。どのような理由で、難しい決断を下すのか。人々の倫理感・判断を考えさせることこそ大事。

人間の数で決めるのか。自分自身の関わりの重要性で決めるのか。

現実の世界においても、全てが丸く収まるウィン・ウィンの状況ばかりではありません。こちらを立てればあちらが立たず。トレード・オフの関係など「正解のない選択問題」はたくさん。

その際に、トロッコ問題などを通して、思考を深めようというのが、サンデル教授の意思なのでしょう。

物語の世界にも、こういったトロッコ問題は、たくさん出てきます。少年の頃から、こういった問題に慣れ親しんでおけば、多方面からの思考力を得られるかもしれませんね。

モハメド・アブドゥルの脱出手段は?

ちなみに、ジョジョで、ジョセフとアヴドゥルは、どのようにして、このピンチを脱したのでしょうか?

それは、線路ではなく枕木を焼き切って、穴を掘るという方法でした。

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ジョジョの奇妙な冒険「スターダストクルセイダーズ」

ここでは、どちらの選択肢も選ばず、皆を救う第三の選択肢が存在したわけです。トロッコ問題は、正解があるわけではないため、ジョジョ第三部スターダストクルセイダースでの結果は、「反則で自分たちも乗客も救う」ということでした。

トロッコ問題wiki

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